2026-04-29 【本感想】ひきこもり支援の光と闇を描いた問題提起作 本の感想 概要 あらすじ 感想 概要 タイトル:ひきこもり家族 著者:染井為人 出版社:光文社 発売日:2025/8/20 あらすじ 不登校となり12歳でひきこもりとなった19歳の僚太。母親と二人暮らしの大知はブラック企業で働き心を病んで、20年前からひきこもり44歳となった。双方の家族がすがったのは、新宿にある「リヴァイブ自立支援センター」。強引に自宅から引き出された二人は、すでにそれぞれのひきこもり人生から無理矢理引き出されていたほかの三人、50代の竹之内、40代の亜弥子、20代の玲とともに、元警察官が営む熊本の研修施設で囚人のような生活を強いられる。施設長は辺見未知留というプロレスラーのような巨体の大女だ。悪魔のような彼女に監視され、逃げることもできず未来のない辛い日々が続く。ある日、監獄のような扱いに抗い五人は施設長を殺してしまう。必死にもがき、社会に怯えるように生きてきた彼らの終わりが始まる。注目の作家が放つ、書き下ろし長編ミステリ。 感想 本作は、不登校をきっかけに12歳でひきこもりとなり、19歳になった僚太と、母親と二人暮らしの中で20年前からひきこもり生活を続ける44歳の大知、二人の人生を軸に描かれています。 世代も境遇も異なる彼らですが、共通して頼ったのが新宿にある「リヴァイブ自立支援センター」でした。 しかし、その施設で待ち受けていたのは、再生や支援とは程遠い、まるで監獄のような扱いでした。閉ざされた環境の中で追い詰められていく登場人物たちの姿には、読んでいて強い息苦しさと現実の重さを感じさせられます。 そしてある日、抑えきれない怒りと絶望が爆発し、施設長を殺害するという衝撃的な展開へとつながっていきます。 物語の終盤に向けての収束の仕方は非常に見事で、張り詰めていた緊張感が一気に解き放たれるような感覚を味わいました。 重いテーマを扱いながらも、ページをめくる手が止まらず、一気に読み進めてしまう力があります。 ひきこもり問題や支援のあり方といった、現代社会が抱える根深い課題を背景にしている点も印象的でした。 ただのフィクションとしてではなく、「現実にも起こりうるのではないか」と考えさせられる場面が多く、読後にはさまざまな思いが胸に残ります。 読みやすさとテーマ性のバランスが取れた一冊で、重厚な内容ながらも強く引き込まれる作品でした。 社会問題に関心のある方や、考えさせられる読書体験を求めている方におすすめです。 『ひきこもり家族』Amazonへのリンクはこちら